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技術研修センター&ショールームが完成しました˖✧˖✧˖✧

 本社ビルの道を挟んだ向かい側の建物(現:第二ビル)内にて、昨年より、新入社員等の教育のために整備していた、「技術研修センター」がこの度完成しました。

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↑【導通試験の様子】         ↑【調整中の様子】

 この技術研修センターでは、我々建設業を取り巻く現状や、会社を運営していく上で遵守しなければいけない法令などを座学で学ぶことはもちろん、実際の現場でも使われている中央監視装置や空気調和機等の設備を導入し、「工事施工が体験できる、見える実習施設」を目指しました。建物の1階には熱源設備系統を配置し、2階には空調機系統を配置しています。

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↑【座学スペースで研修中の様子】

 当社の事業内容である、空調自動制御と言われても、「?」とクエスチョンマークが付くかもしれません。けれど、自動制御の技術は皆さんの身近なところにも使われています。

 例えば、おなじみの家庭用エアコンも、自動制御を用いている機械の一つです。皆さんが家庭用エアコンを自動運転にし、目標とする温度を決めた場合、エアコンは室温を計測し、その設定温度にできるだけ近づけようとする運転を行います。設定温度から大きく室温が離れている場合、圧縮機(エアコンの心臓部と言える所で、空気中から「熱」を受け取った冷媒を温めて、温度をコントロールする機能があります!)に電源を供給して稼働させ、インバーター(圧縮機をエアコンの心臓とすると、その心拍数をコントロールしているのがインバーターです!)は室温を設定温度に近づけようと運転を行います。設定温度に近づいた時点で、消費電力を軽減させるため、圧縮機の運転を止め、送風運転にすることで省エネルギー化を図ります。 

 実際の現場では、例えば製薬工場や病院の手術室のような施設の場合、温度や湿度に加え、その空間に空気中のゴミやホコリ、浮遊微生物などが入らないようにするために、空気の清浄度や室圧までもコントロールしなければいけません。

 では、当社の技術研修センターのご紹介も兼ねて、当社で扱っている空気調和機や中央監視装置の仕組みについて少しご紹介します。

 まずは、1階の熱源設備系統です。

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↑【写真1】                    ↑【写真2】   

 【写真1】の熱源機で、温められたり冷やされたりした温水・冷水が、【写真2】の蓄熱タンク(温水と冷水の二つあります)に貯められます。当センターでは、実物が見えるようにこのようなタンク型を採用しましたが、実際の現場では、蓄熱槽として地中に作られることも多く、皆さんの目に触れることはあまりないかもしれません。また、日中使用する温水・冷水を、電気料金の安い深夜の時間帯を利用して、水を温めたり冷やしたりして貯めておくことが多いです。

 次は、2階の空調機系統です。                              

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↑【空気調和機】

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↑【空気調和機の置かれている部屋の様子】

 この空気調和機で室内の空気を循環させ、蓄熱タンクから送られてくる温水・冷水と熱交換させ、室内に吹く空気の温度・湿度を調整します。

 ちなみに、この空気調和機は1時間当たり、2,500㎥の空気を処理できる能力があります。2,500㎥が一体どのくらいの体積かと考えると、体育館にあるバスケットボールコート(縦28m×横15m×天井高12m=5,040㎥)の半分くらいの、立体的な空間をイメージしてください!面積ではなく、体積なので、イメージしづらいかもしれませんが、何となく規模は伝わりましたか?

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↑【写真3】

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↑【写真4】

 そして、空気調和機で温度や湿度などが調整された空気が、【写真3】の右側三本のダクトを通って、三つの部屋へと供給されます。普通は天井の裏側にあるため、皆さんの目にはつきませんが、当センターでは、このようにダクトの行方が見えるように天井をわざと取り付けていません。この三本のダクトにはVAV(日本語では、「可変風量制御装置」)が取り付けられており、各部屋であらかじめ設定された室内条件に合わせるために、空気調和機から送られてくる空気の風量を多くしたり少なくしたりして、調整しています。

 【写真3】にはもう一本ダクトが写っていますが、この一番左側の少し太いダクトには、CAV(日本語では、「定風量制御装置」)が取り付けられています。このダクトは、【写真4】の三つの部屋へとつながる手前の部屋へ供給されるものであり、CAVはダクト内の風量が増減しても決められた風量しか流さないような仕組みになっているため、温湿度等の制御はせず、給排気のみを行っています。

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↑【Aの部屋】         ↑【Bの部屋】         ↑【Cの部屋】

 さて、ダクトを通った空気は、写真のような「A」、「B」、「C」の三つの部屋にそれぞれ供給されます。これらの部屋は一見同じように見えるかもしれませんが、それぞれに大きな違いがあります。何が違うかわかりますか?

 まず、【Aの部屋】には、太陽の光が降り注ぐ大きな窓が見えますね?この窓があることで、太陽が降り注ぐ時間帯には部屋の中はどんどん温められ、逆に、太陽が沈む時間帯にはどんどん冷やされてしまいます。

 続いて、【Cの部屋】には、奥の方にエアコンが見えますね?例えば、この部屋の温度を15℃にしたい場合、このエアコンが温風を吹き出してしまうと、部屋はどんどん温められてしまうため、空気調和機から【Cの部屋】に供給する空気は、15℃よりももっと冷たい温度にする必要があります。このように、このエアコンは、自動制御が影響を受けてしまう室内の因子(=ダミー負荷)として設置されています。

 【Aの部屋】には外気の影響を受ける因子(=窓)がありましたが、【Cの部屋】には室内に影響を受ける因子(=エアコン)があるという違いがあります。

 その点、【Bの部屋】には、外に面した大きな窓も、エアコンもありません。【Bの部屋】のように影響を受ける因子が少ない環境の方が安定した制御が行えるのですが、実際の建物ではそうはいきません。

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          ↑【写真5】             ↑【写真6】

 また、【Cの部屋】の外には【写真5】のようなPCDコントローラボックスと呼ばれるものが取り付けられています。これは、【Cの部屋】の中の気圧を表示しており、【Cの部屋】をクリーンルームのように、高度な清浄度を保った部屋にしたい場合、部屋の中の気圧を外の気圧よりも高くしておけば、空気は【Cの部屋】から出ることしかできず、入ることはできなくなります。では、室圧はどのように測定しているかというと、【写真6】の、天井の蛍光灯の横にある、この小さな銀色の円盤のような部分から、部屋の気圧をコントローラに導いて、室間の圧力差を検出しています。また、部屋の排気量をコントロールするためのPCD本体が天井の中にあります。このように、【Cの部屋】は室圧をもコントロールできる部屋になっています。

 このような異なる環境でも、安定した空調を提供するために空気調和機を利用するのですが、その設定などをコントロールするものが、「中央監視装置」と呼ばれるものです。大型の商業ビルや病院・工場には、空調設備や電気設備、給排水設備など様々な機能が組み込まれています。中央監視装置とは、これらの機能の自動化や、不具合の監視・記録といった管理をコンピュータに集約させた装置のことを言います。

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↑【中央監視装置(アズビル(株)製の「savic-netG5」)】

(このモデルでは、監視用のパソコンは市販されているものを利用でき、複数台設置することもできます。)

 この中央監視装置から出された信号は、「制御盤」と呼ばれるものに集約され、各機器へとその指示が伝わります。制御盤とは、さまざまな機械や設備を動かすために流れている電気を、 自動でコントロールするための装置が入っている"箱"のようなものです。

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↑【制御盤】

(この4つの扉を開けると、1階の熱源設備系統や2階の空調機系統につながる色々な配線やコントローラなどが所狭しと並んでいます!)

 少々長くなってしまいましたが、当センターでは、このように空気調和機や中央監視装置の仕組みがわかりやすく理解できるよう「見える化」されています。当社は、お客様への最適な設備の提案や設計・施工から修理・メンテナンスまで、自社で一貫した体制で行っています。新入社員の皆さんには、このセンターでしっかりと自動制御の基礎を学んでいただき、実際の現場では先輩の技術を間近で見ながら、この仕事の自分なりのやりがいや面白さを見つけてもらい、ぐんぐん成長してもらいたいと思います。

 また、当センターでは、最新鋭の中央監視装置「savic-netG5」を導入する等、アズビル(株)を中心とした様々な自動制御機器を導入して研修設備を構築しており、実際の熱源・空調設備に近い形で自動制御設備を見ていただける施設となっています。アズビル(株)の自動制御設備の導入を計画・予定していらっしゃる設計事務所様やユーザー様、自動制御設備の更新を考えていらっしゃるユーザー様など、多くの皆様に、実際に"見て"、"触れて"、"体感して"いただけるショールームの機能も併せ持っています。今後も、製品の展示や実演について充実させ、新製品についてもタイムリーに紹介できるスペースとして成長させたいと考えています。

 最後になりますが、当センターの設立に当たっては、日頃から様々な現場で一緒にお仕事をさせていただいている取引先の皆様が関わってくださいました。また、富山支店の社員のみならず、他支店の社員も機器の調整に駆け付けてくれるなど、社員の協力もあって、ようやく日の目を見ることができました。当センター設立に関わってくださった全ての皆様に、心より感謝いたします。

 当社は、これからも社員への教育に力を注いで参りますので、関係者の皆様におかれましては、今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。

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